武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。
「歯の根元が削れている」
「どこかがしみる気がする」
このように感じることはありませんか?
鏡で見てみると、歯ぐきとの境目が少しくぼんでいたり、えぐれたように見えたりします。この状態を「楔状欠損(くさびじょうけっそん)」といいます。
「歯周病で歯茎が下がってしまったからなのでは」
「以前、歯医者さんに噛み合わせの強さを指摘されたことがある」
そうおっしゃる方もいらっしゃいます。
たしかに、歯周病で歯ぐきが下がると歯の根元が見えるようになり、「歯が削れた」と感じることがあります。しかし、歯ぐきが下がることと、歯そのものが削れている楔状欠損は別の現象です。見た目が似ているため混同されやすいのですが、それぞれ原因や対応が異なります。
また、以前は噛み合わせの強い力だけが楔状欠損の主な原因と考えられていた時代もありました。しかし現在では、それだけでは説明できないことがわかってきています。
近年の研究では、歯ブラシだけでなく、噛む力や食いしばり、歯ぎしり、酸性の飲食物など、さまざまな要因が重なって起こる病変だと考えられています。

目次
楔状欠損(NCCL)とは?
楔状欠損(NCCL)の特徴は次のとおりです。
- むし歯ではない歯の欠損
- 歯の根元(歯頸部)に起こる
- 露出した象牙質が削れていることが多い
- 年齢とともにみられる頻度が高くなる…など
楔状欠損とは、むし歯ではないのに歯の根元(歯頸部)がくさび状に削れてしまう状態です。歯科では「非う蝕性歯頸部歯質欠損(NCCL)」とも呼ばれます。
初めは小さなくぼみ程度ですが、少しずつ深くなることがあります。歯ぐきが下がることでエナメル質よりも柔らかい象牙質が露出すると、この部分は日々のブラッシングなどの影響を受けやすくなります。
進行すると、冷たいものや甘いものがしみたり、歯ブラシが当たっただけで痛みを感じたりすることがあります。一方で、すべての楔状欠損に症状が現れるわけではありません。しかし、放置すると欠損が広がり、歯が欠けたり、修復治療が必要になったりすることもあります。
また、楔状欠損は年齢とともにみられる頻度が高くなります。これは加齢そのものが原因というよりも、長年のブラッシング習慣や噛む力、歯ぐきの退縮など、さまざまな要因が積み重なるためと考えられています。

なぜ歯の根元だけ削れるの?
「歯ブラシが原因なら、歯全体が均一に削れそうなのに、なぜ歯の根元だけなのでしょうか。」
このように疑問に思う方も多いかもしれません。その理由として、次のようなことが考えられています。
- 歯ぐきが下がることで象牙質が露出している
- 象牙質はエナメル質よりも柔らかく、摩耗しやすい
- そのため歯の根元は、さまざまな刺激の影響を受けやすい
歯の表面を覆うエナメル質は体の中でもっとも硬い組織ですが、歯ぐきが下がると、その内側にある象牙質が露出します。象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、ブラッシングや噛む力などの影響を受けやすく、歯の根元だけが削れやすくなると考えられています。
つまり、歯ぐきが下がって象牙質が露出した状態に、ブラッシングや食いしばり、歯ぎしり、酸性の飲食物など複数の要因が重なることで、楔状欠損が生じると考えられています。
原因はひとつではない
以前は、噛む力だけが原因という「アブフラクション」という考え方もありました。しかし、現在では、楔状欠損は一つの原因で起こるのではなく、複数の要因が重なって生じると考えられています。

ブラッシングによる影響
もっとも関係が深いと考えられているのが、日々のブラッシングです。
特に次のような習慣があると、露出した象牙質が少しずつ削れやすくなります。
- 強い力で磨く
- 横方向にゴシゴシ磨く
- いつも同じ場所を重点的に磨く
- 研磨剤の多い歯磨剤を頻繁に使用する
歯ブラシだけでは歯が大きく削れるわけではありませんが、象牙質が露出した状態では、長年のブラッシングの積み重ねが楔状欠損につながると考えられています。
噛む力や食いしばり
食いしばりや歯ぎしり、強い咬合力も無関係ではありません。
歯に繰り返し強い力が加わることで歯頸部に負担がかかり、ブラッシングなどによる摩耗が起こりやすくなる可能性があると考えられています。
ただし、噛む力だけで楔状欠損が起こることは現在の研究では十分に証明されておらず、ほかの要因と組み合わさって発症すると考えられています。
酸性の飲食物
炭酸飲料やスポーツドリンク、ワイン、柑橘類など酸性の飲食物を頻繁に摂取すると、歯の表面が一時的にやわらかくなることがあります。
その状態で歯を強く磨くと、象牙質がさらに削れやすくなる可能性があります。
このように、楔状欠損は「ブラッシング」「噛む力」「酸性の飲食物」など、複数の要因が重なって起こると考えられています。
以前は「噛み合わせだけ」が原因と考えられていた
楔状欠損の原因については、以前は「アブフラクション」という考え方が広く知られていました。これは、噛む力によって歯頸部に力が集中し、その負担で歯が欠けていくという考え方です。
しかし、その後の研究では、アブフラクションだけで楔状欠損を十分に説明することは難しく、実験でも同じ病変を確実に再現することはできていません。また、実際の臨床でも噛む力だけでは説明できない症例が多く報告されています。
現在では、「ブラッシングによる摩耗、食いしばりや歯ぎしりなどの咬合力、酸性の飲食物、歯肉退縮による象牙質の露出」など、複数の要因が重なって発症すると考えられています。

そのため、楔状欠損を改善・予防するには、一つの原因だけを見るのではなく、生活習慣やお口の状態を総合的に評価することが大切です。
こんな人は注意
楔状欠損が気になっている方は下記のチェックリストを試してみてください。
- 歯ぎしりをする
- 食いしばる
- 強く磨く
- 知覚過敏がある
- 歯ぐきが下がっている
- 炭酸や酸っぱいものが好き
当てはまることがある方はぜひ歯科医院へ足を運んでみてくださいね。
放置するとどうなる?
放置すると下記のようなことが起こるので気をつけましょう。
- 知覚過敏
- むし歯になりやすい
- 欠ける
- 詰め物が外れやすい
- 見た目が気になる
治療は削れたところを埋めるだけではない
以前は、楔状欠損の治療は削れたところを埋める処置が主流でした。しかし、原因を除去しなければ再発してしまいます。治療して埋めたとしても二次的なむし歯になるリスクもあるため、安易に埋めることがいいとは言えません。
まずは例えば下記のような流れで考えていくことが大切です。
- ブラッシング改善
- 歯磨剤の見直し
- 食いしばり対策
- マウスピース
- 必要ならコンポジットレジン修復

そして、今日からできる予防法としては下記のことがあります。
- ゴシゴシ磨かない
- 小刻みに磨く
- 力を入れすぎない
- 知覚過敏がある部分は研磨剤を付けない
- 定期的に歯科医院でチェック
まずはこういったことから意識をしていって、定期的に歯科医院にてチェックしてもらってみてくださいね。
