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銀歯が取れたときの応急処置と歯科治療|そのまま放置したらどうなる?

取れた銀歯

ガムやキャラメルなどの粘着性の高いものを食べたとき、何年も前に治療した銀歯がポロリと取れてしまうことはよくあります。
そんな時、即座にかかりつけの歯科医院に行くことができれば良いのですが、すぐに行けない場合も多いでしょう。

今回は、銀歯が取れた時に役立つ応急処置や銀歯が取れる原因、歯科医院での治療法などについて解説します。銀歯が取れたら速やかに歯科医院を受診しましょう。

銀歯が取れた時の応急処置

銀歯が取れた時、歯科医院へ行くまでにできる応急処置をご紹介します。すぐに歯医者へ行けない方は次のことを心がけてください。

取れた銀歯を保管する

取れた銀歯はきれいに洗って、小さなケースやジップ付きの袋に入れて保管してください。ティッシュやハンカチに包んで保管すると、誤って捨ててしまう可能性が高いです。取れた銀歯は、歯科医院を受診するまで大切に保管しましょう。

お口の中を清潔に保つ

銀歯(詰め物)が取れた歯は、部分的に穴が空いているため、汚れが溜まりやすい状態です。汚れが蓄積されると虫歯や歯周病のほか、口臭の原因にもなります。歯磨きをしっかり行い、お口の中を清潔に保ちましょう。

歯の神経を刺激しない

歯に神経が残っている場合、銀歯が取れることで神経が剥き出しになる場合があります。穴が空いている部分から神経までの距離は近いので、ちょっとした刺激にも過敏になります。熱いものや冷たいもの、固いものなどで激痛が走ることもあるため、食事の際は気をつけてください。

銀歯が取れる原因

銀歯が外れる原因はひとつとは限りません。複数の原因が複合的に重なって銀歯が取れることもあります。

虫歯

銀歯と歯の間に隙間があると、そこに汚れが溜まり、虫歯が銀歯の下(中)に広がっていきます。虫歯菌が発する酸によって歯が溶けて弱くなり、銀歯が外れてしまうことがあります。

銀歯の劣化

健康保険の治療で使用されている銀歯は、さまざまな金属が合わさっている混ぜ物で、正式には「パラジウム合金」と言います。この金属は時間の経過とともに劣化しやすいという特性があり、対応年数は平均して5〜7年と言われています。

お口の中は常に熱いものや冷たいものが入ってきますし、食べ物を噛んだり、すり潰したりなど、とてもハードな環境です。この過酷な環境によって金属が溶けて銀歯が変形し、外れてしまう場合があります。

接着剤の劣化

銀歯はセメントと呼ばれる接着剤で歯に固定されています。銀歯はお口の中で常に唾液に晒され、噛む力にも耐えています。その結果、徐々に接着力が弱くなり、銀歯が取れてしまいます。

歯ぎしり

歯ぎしりや食いしばりなどの癖も銀歯が外れやすくなる原因です。「ギシギシ」と、歯ぎしりによって継続的に歯が揺さぶられたり、食いしばる強い力によって銀歯が取れることがあります。

銀歯が取れた(外れた時)の治療法

銀歯が取れた女性

銀歯が取れたら、できる限り早めに歯科医院を受診しましょう。歯科医院ではお口の状況に応じて、次のような処置を行います。受診の際は取れた銀歯を持参してください。

取れた銀歯を接着する

銀歯が破損しておらず、歯の状態も良好な場合は銀歯をつけ直せる可能性があります。外れた銀歯は歯科医院を受診するまで捨てずに保管してください。

新しく銀歯を作る

銀歯そのものが破損している場合や銀歯の下(中)で虫歯が広がっている場合は、銀歯を作り直します。銀歯の下で広がっている虫歯を完全に除去し、形成面を整えて新たに歯型を取ります。

なお、新しく作り直す詰め物や被せ物は、銀歯に限らずセラミックなどの素材(自由診療)も選択できます。興味のある方は担当の歯科医師に相談してみましょう。

プラスチックを詰める

銀歯の再治療では、金属ではなくプラスチックを詰める場合があります。歯を削った穴にプラスチック樹脂を流し込み、特殊な光で固めます。型取りが不要なので、その日のうちに治療が完了しますし、歯の色に近い自然な仕上がりになることもこの治療の特徴です。ただし、噛み合わせが強い部分や虫歯の大きさによっては適応外となります。

マウスピースを作製する

銀歯が取れた原因が歯ぎしりや食いしばりの場合は、銀歯の再着または再作製に加えマウスピースを作製します。就寝時にマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりから起こる銀歯の破損を減少させることができます。

銀歯が取れたまま放置はNG!考えられるリスク

銀歯が取れ歯科医院へ受診する人

銀歯が取れた時は、できる限り早く歯科医院を受診しましょう。痛みや違和感がないからといってそのまま放置すると、歯や噛み合わせに影響が出てしまいます。銀歯を放置することで引き起こるさまざまなリスクを紹介します。

虫歯が進行する

銀歯が外れると、穴になった部分に汚れが蓄積され、あっという間に虫歯が進行してしまいます。虫歯が神経まで達すると強い痛みを生じますし、神経の処置が必要になる場合もあります。また、根の先にまで虫歯が進行すると、抜歯をしなければならないこともあります。

歯が欠ける

銀歯が接着されていた歯は「以前に虫歯治療を行なった」ということです。ですから、銀歯が外れると土台だけになっていたり、歯が薄い剥き出しの状態になっています。そのような状態で強く噛むと、歯が欠けたり破損するリスクが高いです。

噛み合わせが崩れる

銀歯が取れたまま放置していると、噛み合わせや歯並びに影響が出ます。取れた部分の隙間を埋めようと周囲の歯が伸びてきたり、歯が倒れてしまうことも。また、外れた反対側の歯で噛むことが増えると、歯やあごに負担がかかり、顎関節症や頭痛、肩こりなどを引き起こす可能性もあります。

銀歯が取れた後のNG行動

銀歯は長年使用していると、経年劣化やさまざまな原因によって外れてしまうことがあります。外れた後は、できる限り早い段階で適切な処置を受けることが大切ですが、同時にやってはいけないNG行動にも注意する必要があります。

そのまま放置する

銀歯を取れたまま放置しても自然に治ることはありません。虫歯や歯周病が進行すると、より高度な治療が必要になりますし、その分治療費も高額になります。
見た目の問題はもちろんですが、歯やあご、噛み合わせなど、様々な部分への悪影響が考えられます。できる限り早く適切な処置を受けましょう。

取れた銀歯を捨てる

取れてしまった銀歯は、そのまま元に戻せる可能性があります。きれいに洗浄して、ケースやジップ付きのナイロン袋などに入れて保管してください。

取れた部分に力をかける

銀歯が取れた部分は、少なくとも過去に一度は虫歯の治療をしたということです。過去に歯を削っているため、健康な歯と比べて歯質が弱くなっています。そこに力が加わると、歯が割れたりヒビが入る可能性が高いです。食事の際は反対側で噛むようにし、固い食べ物は避けましょう。

銀歯を自分で戻す、接着剤で付ける

銀歯が外れた場合、決して自分で戻そうとしないでください。歯と銀歯の間に細菌が入り込んでしまうと、虫歯や歯周病の原因になります。また、微妙な噛み合わせの変化で上手に噛めなくなったり、歯やあごに負担がかかって、歯や歯根の破損に繋がる可能性があります。

銀歯が取れる前に歯科検診を受けましょう

銀歯が取れたらできる限り早く歯科医院を受診しましょう。かかりつけの歯科医院を受診するのがベストですが、いつもと違う歯科医院でも問題ありません。それでも直ぐに行けない場合は、応急処置で数日間を乗り切ってください。

また「銀歯が取れる」などのトラブルを未然に防ぐためにも定期検診を習慣化しましょう。定期検診では、虫歯や歯周病のチェックのほか、歯石の除去やクリーニングなどを行いお口の健康を守ります。トラブルのない健康な口腔環境を維持するためにも、ぜひ定期検診をご活用ください。