あなたの歯ぐきは大丈夫?糖尿病と歯周病の深い関係

武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です

歯周病と糖尿病、実は深い関係があることを知っていますか?歯周病は口の中の疾患であり、糖尿病は全身疾患です。一見関係が無さそうなこの二つの疾患はどのような関係があるのでしょうか?

今回は、歯周病と糖尿病の深い関係について解説します。

糖尿病と歯周病の関係

糖尿病と歯周病は相互に深い関係があると言われています。

糖尿病がある方は歯周病が悪化しやすく、歯周病があると糖尿病の血糖コントロールが難しくなることがわかっています。

歯周病の治療をきちんと行うと、糖尿病が改善するケースもあるため、両方の病気の治療やコントロールを並行して行っていくことが大切です。

糖尿病が歯周病を悪化させる理由

糖尿病の人は、高血糖状態が続くことで、体の免疫機能が低下して歯周病菌に対する抵抗力が弱くなります。

糖尿病が歯周病を悪化させるメカニズムは、具体的に次の4つがあります。

免疫力の低下

白血球の機能が低下して、歯周病菌に対する抵抗力が弱くなります。そのため、歯周病菌が増殖しやすくなります。

歯ぐきの炎症も長引く傾向にあり、歯周病が悪化する要因になります。

血管障害

糖尿病で高血糖状態が続くと、毛細血管の構造が傷ついて血流が悪化します。

歯ぐきの周りの組織に酸素や栄養が行き渡りにくくなり、歯ぐきの治癒力が落ちてしまいます。歯周病の炎症が治まりにくくなり、炎症がそのまま広がりやすくなります。

炎症反応の増加

糖尿病は慢性炎症状態を引き起こします。体内で炎症サイトカインが多く産生されるため、歯周病の炎症反応も強くなります。歯周病による歯周組織の破壊が進行しやすくなります。

歯ぐきの腫れや、歯ぐきからの出血、歯のぐらつきが悪化しやすいです。

唾液の質や量の変化

糖尿病になると、唾液の分泌量が減少したり、質が変化したりすることがあります。

唾液にはもともと抗菌作用や汚れを洗い流す自浄作用が備わっていますが、唾液の量が減少することで、働きが弱まります。

その結果、歯周病菌が増殖しやすい口内環境になりやすくなります。

歯周病が糖尿病を悪化させる理由

歯周病によって慢性的な炎症が持続すると、炎症性物質が増加し、血糖コントロールを妨げるため、糖尿病が悪化することがあります。

歯周病が糖尿病を悪化させるメカニズムは、具体的に次の4つがあります。

インスリン抵抗性の悪化

歯周病が進行すると、歯ぐきの中で炎症が持続して、炎症性サイトカインが大量に酸性されます。炎症性サイトカインが血流を通じて全身に広がると、血糖値を下げるためのインスリンの働きを妨げます。

その結果、血糖値がコントロールしにくくなり、糖尿病が悪化することがあります。

代謝が乱れる

炎症性サイトカインは、肝臓や筋肉内での糖の代謝にも影響を与えます。

肝臓で糖を作る働きが活性化され血糖値があがったり、筋肉内での糖の取り込みが低下したりして、血中に糖が残りやすくなります。

そのため食事や運動を頑張っても、思うように血糖値が下がりません。

毒素による全身炎症

歯周病が進行すると、歯周病菌の出す毒素が血流にのって全身を巡ります。そうすると毒素が免疫系を刺激して、慢性的な全身炎症を引き起こします。

また、ホルモンバランスが崩れ、血糖値の安定がさらに難しくなります。

歯周病の痛みや不快感による生活習慣の乱れ

歯周病が進行して、痛みや不快感が現れるようになると、食生活が偏ったり、運動量が減少したりすることが考えられます。

具体的には、硬いものが食べにくくなり、炭水化物中心の生活になったり、痛みで食欲が無くなったりするなどです。

生活習慣が乱れると、血糖値のコントロールが難しくなります。

糖尿病の方が歯周病予防・管理のためにできること

糖尿病の方は、病気が無い場合と比べて、歯周病の予防や治療をよりしっかりと行っていく必要があるでしょう。歯周病のケアは糖尿病の治療の一部とも言えます。

歯周病のケアには、歯科医院で行うプロケアと、自分で行うセルフケアの両方が大切です。

具体的な方法を紹介していきます。

定期検診とクリーニング

歯周病の発症、進行の予防のためには、歯科医院での定期検診とクリーニングが大切です。

歯周病は自覚症状が少ない病気なので、自分では気づきにくいという特徴があります。

痛みが現れる頃には、歯周病は重度にまで進行していることも多いです。

定期検診で歯周病検査を受けて、歯ぐきの状態をチェックするようにしましょう。問題に早めに気づけば、早めに対処することができます。

また歯ぐきからの出血や歯ぐきの腫れなど、わずかな症状に気づいた場合には、早めに受診をするようにしましょう。

そして磨き残しのケアには、歯科医院で行う専門的なクリーニングを受けるのがおすすめです。

歯科医院で行うクリーニングの内容

歯科医院では、歯石除去や機械を使った歯面清掃を行います。

歯石は歯垢(プラーク)が石灰化して固くなったもので、自分では除去することができません。定期的に歯科医院で歯石除去を受けるようにしましょう。

歯面清掃は「PMTC」と呼ばれるクリーニングを受けることができます。

PMTCはプロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニングの略で、歯科医師や歯科衛生士が専用の機械を使って、専門的に行うクリーニングのことを指します。

自分では除去しきれない細部の汚れを除去し、細菌の集合体を破壊していきます。

そして、歯の表面がツルツルになるので、汚れがつきにくくなります。

毎日の丁寧なブラッシング

自分自身で行うケアは、歯科医院で行うクリーニングと同様に大切です。

しっかりと汚れが除去できるように、毎日丁寧にブラッシングを行いましょう。歯ブラシだけでは全体の汚れの60%しか除去できないと言われています。

歯間ブラシやデンタルフロスなどの清掃補助用具も使用するようにしましょう。

清掃用具は使い方が難しいことがあります。歯科受診の時に、ブラッシング指導を受けて、効率良くブラッシングできる方法を習得するのがおすすめです。

ブラッシング指導では、一人一人に合った清掃用具の選択や、ブラシの動かし方まで、詳しく知ることができます。

内科主治医との連携

歯周病と糖尿病は相互に深い関係があるため、内科主治医との連携が大切です。

必要に応じて、紹介状や診療情報提供書を使って連携をとっていきます。

歯科治療の現在の保険治療の取り決めでは、糖尿病がある方はハイリスク患者として、より丁寧なクリーニングを受けることが可能になっています。

具体的には、保険適用で通常3ヶ月に1度受けられるクリーニングが、糖尿病の方は1ヶ月に1度受けることができます。内科主治医との連携が条件になるので、頻繁にクリーニングを受けたい場合には、歯科医師に相談すると良いでしょう。

まとめ

糖尿病は歯周病と深い関係があることがわかりましたか?

歯ぐきの健康を守ることは、糖尿病の血糖コントロールにつながります。

歯周病のケアは糖尿病治療の一部だと言えるでしょう。

そして糖尿病の方は、歯周病が進行しやすいので、歯周病に早く気づき、早めに治療をすることが重要になります。

糖尿病をお持ちの方は、歯科医院で定期的なケアを始めるようにしましょう。

内科主治医と歯科医で連携を取ることで、より適切にケアを進めていくことができます。内科主治医また歯科医に相談し、健康を長く守っていけるようにしていきましょう。