武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です
赤ちゃんといえば、指しゃぶりやおしゃぶりをお口にくわえているイメージが強い方も多いのではないでしょうか。指しゃぶりをしながらうっとりと眠りについている様子はとても癒やされますよね。
ところが、それらを見過ごしているとお口に問題を抱える原因となってしまうことがあります。そうなる前に、指しゃぶりをしなくて済む対策が必要になってきます。
そこで今回は「子どもはなぜ指しゃぶりをする?やめない子の原因や対策」について解説していきます。まずは、どんなことが問題となるのか、どこまでなら目をつぶってよいのかを知ることから始めてみませんか。
目次
指しゃぶりによる影響
指しゃぶりを長時間・長期間することで、歯並びをはじめ、顎や輪郭の発達も阻害してしまうかもしれません。すると、噛みきれない・口呼吸になりやすいなどの弊害が出て、日常生活に支障が出てきてしまいます。
指しゃぶりによって一番影響を受けるのは「歯並び」です。歯は、指しゃぶりや舌の動かし方などの口腔習癖でも簡単に動いてしまうからです。どのような歯ならびになるかというと、主に3つあげられます。
① 出っ歯(上顎前突)
長時間、指やおしゃぶりが前歯に当たることで、上の前歯が前方に倒れ込んで前に出てくる「出っ歯(上顎前突)」が起こりやすくなります。
②開口
通常、上下の前歯は少し上の歯が覆い被さるように全ての歯が軽く接触しています。指しゃぶりをしていると上下が離れた状態となり、それを「開口」と呼びます。前歯が接しておらず、奥歯でしか噛めないので一部の歯に負担がかかり、歯周病が進行しやすいとされています。また、前歯でかみ切ることができないので、麺類などは食べにくいでしょう。
③交叉咬合
上の歯は下の歯よりも外側に位置していますが、何らかの影響を受けて一部の上の歯が内側に入り、交叉したようなかみ合わせになることもあります。引っかかるためすり潰すような動きに制限がかかり、食べ物をうまくかみ砕けないことが起こります。
このように、指しゃぶりなどの何らかの影響によって歯ならびに悪影響を与えてしまうことがあります。
他にも、顎が十分に発達しないと高口蓋になり、空気の通り道が狭くなるため、口呼吸になりやすい環境に。口呼吸になるとお口の中が乾燥し、ドライマウスのリスクが高まり、むし歯や歯周病にかかりやすくなります。鼻呼吸はウィルスや細菌を防ぐ作用がありますが、口呼吸はダイレクトに身体の中に入ってしまうため、風邪などのさまざまな病気を引き起こす可能性が高いです。歯並びが悪くなるとうまく滑舌できず、言語発達の影響も考えられます。
このように指しゃぶりをきっかけに様々なお口の影響が考えられるため、早いうちから対策が大切になります。
なぜ指しゃぶりする?原因を解説
指しゃぶりは歯並びに影響があるので、今すぐにでも止めさせたいと考える人は少なくないでしょう。しかし、指しゃぶりをすることで赤ちゃんのストレスが軽減されていることもあります。なので次は、なぜ赤ちゃんが指しゃぶりをしてしまうのかをご紹介します。原因が分かってからその子に合わせた対策が大切です。
吸啜反射が残っている
生まれたばかりの赤ちゃんは、吸啜反射があります。おっぱいを吸うために携えている力です。その名残が残っていることでお口に指を加えたがります。また、お口の中が一番発達していて、口の中に物を入れることでそれが何であるかを確認することができます。おもちゃなど何でも口に入れるのはそのためです。なので、この頃は指しゃぶりやおもちゃ舐めを無理に辞めさせる事は控えましょう。
手の存在を認識
成長してくるに従って手の存在を認識していきます。すると手を使った遊びを始めます。指しゃぶりもその一環かもしれません。赤ちゃんの成長を促すために必要な場合もあるので、そっと見守りましょう。
退屈で遊んでいる
退屈だから指と口で遊んでいることがあります。持て余してるだけならおもちゃなどを与えるだけで落ち着くことがほとんどです。
眠い、安心したい
1、2歳になってくると眠いときや安心したいときなどに指しゃぶりをすることがあります。おっぱいを飲んでいるときの感覚を思い出すのか、指をしゃぶることで安心感を得られたり、不安を解消できたりすることができます。指しゃぶりをしていることがあれば、無理に止めさせようとするよりも不安をなくし、安心させてあげることが大切です。
癖になっている
だんだん成長してくると周りの友達の存在もあって自然にやめられることが増えていきます。それでも続けている場合は癖になっていることが考えられます。何か別のことに注意を向けるようにするのが必要かもしれません。
このように指しゃぶりは、成長を促すことや、遊びにつながっていること、精神安定剤なっているという側面もあります。無理に辞めさせるようとするのは、かえって赤ちゃんの不安感を煽ってしまうことになるかもしれません。
指しゃぶり対策5選
指しゃぶりに悪影響があることがわかりましたが、その一方で指しゃぶりをすることにメリットもあります。よって、時期に応じて対応を考えていく必要があります。最後にそれらを踏まえた上で、指しゃぶりをやめていく方法を5つご紹介します。
①良くないことを伝え、しなかったら褒める
指しゃぶりは幼い頃は様子をみても良いでしょう。しかし、ある程度の年齢を重ねてくると悪影響が出ることがあるので対策していきます。ある程度成長したときに止めるのであれば、言葉もしっかり通じるはず。ある程度成長してきたら良くないことを伝えて、しなかったら褒めるなど頭で理解させることをしてみてください。
②外遊び・手遊びをする
また、指しゃぶりはもてあましているからしている場合があります。外遊びをして気を紛らわす、疲れてぐっすり眠れるようにする、手遊びをする…など、指しゃぶりをしなくても満足できるように過ごすのも対策のひとつです。
③コミュニケーションをたくさんとる
指しゃぶりはさみしさの表れでもあるので、コミュニケーションをたくさん取るようにします。話しかけることやふれあい遊びなどの身体に触れてスキンシップをとるのもおすすめです。
④不安やストレスを和らげる
指しゃぶりを安心するためにしている場合は、無理にやめさせるのは逆効果です。ますます不安感が強まってしまします。考えられる不安やストレスを和らげることをしてあげてください。そのためには接している親御さんも心にゆとりがあり、笑顔でいられている必要もあります。ご自身をしっかり労っていくことで自然と愛情が赤ちゃんに向けられることもあります。
⑤指しゃぶり防止グッズを使用する
それでもなかなかやめられないときは、指しゃぶりグッズも活用します。マニキュアや手袋などさまざまなアイテムがあります。そのなかでも、絵本を使って自らやめたくなるように促す方法がおすすめです。相性もありますが「ゆびたこ」という絵本でやめられたという意見をよく耳にします。
ただ、いきなり指しゃぶりグッズを買い与えることおすすめしません。対症療法として一時的に回避できても原因が残っていたら別のかたちで気になる行動が出てくる可能性が高いからです。
まずはその子がなぜ指しゃぶりをしているのか、なぜしないといけない状況に目を向けてみてくださいね。何かお困りの方は、専門の歯科医院にご相談されることをおすすめします。