口臭の悩みは、なかなか人に相談しづらいデリケートな問題です。
「口臭があるのか気になる」「口臭が気になって人と話すのが億劫だ」という人もいるかもしれません。
口臭には様々な原因があります。
今回は、口臭の原因と対策について詳しく解説していきます。
目次
口臭の原因とは
口臭の原因は大きく分けて次の4種類が考えられます。
・生理的に起こるもの(生理的口臭)
・お口の中に原因があるもの
・全身の病気によるもの
・飲食物やタバコなどによるもの
そもそも、口臭自体は誰にでもあるものです。お口の中には多くの細菌が生息しており、お口の環境によって臭いを発しやすくなります。正常な範囲内の口臭は「生理的口臭」と言われます。
生理的口臭以上の強い口臭の原因には、お口の中や全身の病気の影響が考えられます。
原因を取り除くことで、口臭を軽減することができるでしょう。対策についてはこの後詳しく解説していきます。
生理的口臭とは
生理的口臭は、誰にでもある口臭です。
通常は周囲を不快にするほどの強い臭いにはなりません。極端に近づくと(おおむね口から30センチ以内)不快な臭いに感じることがあるでしょう。
生理的口臭が強くなりやすいのは、起床時・空腹時・緊張時です。唾液の分泌が減少しお口の中の細菌が増殖するため、口臭が強まります。
また、女性のホルモンバランスの変化に伴い口臭が強くなることがあります。
乳幼児を持つ保護者の方から、「子どもの口臭が気になる」と相談されることがありますが、生理的口臭であることが多いです。
生理的口臭の対策
生理的口臭は、完全には無くなりません。歯みがきをして、お口の中の細菌をしっかり除去する習慣をつけることが大切です。
また、唾液の分泌量が増えると口臭は弱まりますので、しっかりと水分補給をすること、よく噛んで食事をすることも大切です。
お口の中に原因がある口臭とは
虫歯や歯周病がある場合、歯垢や食べかすなどの汚れが溜まっている場合など、強い口臭が発生することがあります。
口臭の原因となる具体的な要因と対処法は次の通りです。
歯周病が原因の口臭と対処法
歯周病は、歯周病菌が歯の周囲の組織である歯肉・歯槽骨・歯根膜を破壊していく病気です。歯周病菌自体が発生する臭いと歯周組織の腐敗臭、膿の臭いが合わさり、かなり強い口臭になることがあります。
歯周病の治療を行う必要があります。歯周病は進行すればするほど治りが悪くなります。
初期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、定期的に受診をして歯周病のチェックを受け、進行を予防していくことが大切です。
虫歯が原因の口臭と対処法
虫歯で歯に穴が開いていると、虫歯の穴の中に食べかすや虫歯菌が溜まり、口臭が強くなります。また、虫歯が大きく進行すると、歯の神経が腐敗しさらに強い臭いになります。
虫歯を治すことで口臭が軽減されます。虫歯は自然には治りません。必ず治療が必要になりますので、歯科医院を受診するようにしましょう。
歯垢や歯石が原因の口臭と対処法
歯垢(プラーク)が多いと、口臭が強くなることがあります。また、歯垢が石灰化した歯石は、細菌の温床になり、口臭が発生しやすくなります。
毎日の丁寧なブラッシングで歯垢を溜めないことが大切です。
自分では除去できない歯石や、取り残しの歯垢は、歯科医院のクリーニングできれいにしましょう。
舌苔(ぜったい)が原因の口臭と対処法
舌苔は、舌の表面に白く溜まった汚れのことを指します。これは、歯垢と同じように細菌の集まりで、口臭の原因になります。
舌クリーナー(舌ブラシ)などを利用して、舌表面の汚れを取ることで口臭が軽減されます。
舌清掃をする時は、強く擦りすぎないように注意しましょう。舌を傷つけてしまうことがあります。一度に汚れを除去しようとせず、数日に分けて徐々に除去するのがポイントです。
被せ物や詰め物の不適合が原因の口臭と対処法
被せ物や詰め物の治療をしている場合、経年劣化や二次虫歯などにより隙間や段差が生じていることがあります。そのような状況だと、汚れが溜まりやすくなり、口臭の原因になります。被せ物や詰め物の作り替えが必要になります。
お口の中を衛生的に保ちたい場合には、経年劣化しにくいセラミックやゴールドの素材を選択するのも一つの方法です。
口腔がんが原因の口臭と対処法
お口の中の粘膜にがんが発生していると口臭がするようになります。
がんの治療が最優先ですが、臭いが気になる場合には、ミントなどの清涼剤が配合された洗口剤を利用すると軽減されることがあります。
入れ歯が原因の口臭と対処法
お口の中に装着する取り外し式の入れ歯は、大部分がプラスチックでできています。
プラスチックは臭いを吸着するので、口臭の原因になることがあります。
入れ歯が不衛生にならないよう、しっかりと清掃するようにしましょう。入れ歯用ブラシでの擦り洗い、洗浄剤の利用がおすすめです。
全身の病気による口臭とは
口の中が原因ではなく、全身の病気が口臭の原因になっている場合があります。
代表的なものでは、耳鼻咽喉系の病気・呼吸器系の病気・消化器系の病気・糖尿病・肝硬変や肝臓癌・トリメチルアミン尿症などがあげられます。
またその他の病気でも、飲んでいる薬の影響で、お口の中が乾燥しやすくなっている場合は臭いがしやすくなります。
お口の中を衛生的にしており、虫歯や歯周病が無いにも関わらず口臭が強い場合には、全身の病気が潜んでいる可能性があります。
癌などの深刻な病気が潜んでいることもあるので、気になる場合には、一度検診などを受けるのが良いかもしれません。
口臭の対策には、対応する診療科での治療を行なった上で、お口の衛生を保つようにし、口臭対策のタブレットやスプレー・洗口剤を利用するのがおすすめです。
また唾液が少なくなっている場合には、よく噛んで食べることを心がけ、水分補給もしっかり行うようにしましょう。
飲食物やタバコなどによる口臭とは
飲食した食べ物やタバコが、口臭の原因になっていることがあります。
代表的な食べ物には、ニンニク・ニラ・玉ネギ・ネギ類が挙げられます。
その他、卵・乳製品・脂っぽい肉類・キャベツや小松菜・ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜・納豆も臭いの原因になります。
また、タバコは特有の口臭が発生します。
口臭の対策には、タブレットや口臭スプレー、洗口剤などを利用すると良いでしょう。
どうしても口臭が気になる日は、口臭が発生しやすい飲食物を避けるようにしましょう。
まとめ
口臭には、様々な原因があります。原因に応じた対策をすることで口臭は軽減されます。
まずは、お口の中に口臭の原因があるか検診を受けるのが良いでしょう。必要に応じて治療を行い、口臭の原因を取り除くようにしましょう。
そして食事や喫煙の影響はないか、生理的口臭ではないか、生活を見直してみましょう。
これらの原因を取り除いた後も口臭が気になるような場合には、全身の病気が潜んでいる可能性もあります。気になる全身の症状がある場合には、該当の診療科を受診するようにしましょう。
口臭は人に相談しにくいデリケートな問題であり、自分では気がつきにくいという特徴があります。自分の口臭を確かめるには、口臭チェッカーという客観的に口臭の程度を判断する器具を使う方法もあります。
器具に息を吐きかけて判断します。市販されているので、口臭が気になる場合には利用するのもおすすめです。