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歯磨き粉の研磨剤は歯に良くない?を詳しく解説

歯の黄ばみや着色汚れを手っ取り早く落としたい、と言う時に「研磨剤入りの歯磨き粉を使うと効果的なのでは?」と思っていませんか?
メーカーにもよりますが、主に、歯科医院で扱っている歯磨き粉には研磨剤が入っておらず、市販の歯磨き粉には、研磨剤が入っていることが多いです。
これだけでも研磨剤が歯に良いのか良くないのか、なんとなく想像が付きます。ここでは、歯磨き粉の研磨剤について解説します。

そもそも、歯磨き粉って効果があるの?

歯科医が「歯磨き粉は何がいいですか?」という質問を受けると「何でもいいですよ」と答えることが多いです。「値段が高い歯磨き粉のほうが効果はあるの?」と聞かれることもありますが、あまり意味はありません。

実は、ブラッシングの際、歯磨き粉はつけなくてもいいぐらいなのです。歯磨き粉に入っている殺菌成分は、歯から剥がれた細菌に対して殺菌力を発揮するため、歯に付着している状態では効き目がありません。細菌は、歯磨きなどの効果で歯から剥がれてしまえば、うがいをすれば口の外に出てしまうので、せっかくの殺菌力が活かされる機会もなかなかありません。

そういうわけなので、歯磨き粉よりも、毛先の開いた歯ブラシをこまめに交換したり、糸ようじやフロスでのデンタルケアを取りいれたり、歯ブラシの質を良いものに変えたりするほうが効果的です。

研磨剤入りの歯磨き粉が有効な場合とは?

ただし、歯の着色汚れに関しては、研磨剤入りの歯磨き粉が有効である場合があります。お茶やコーヒーなどをよく飲むため着色汚れが気になる人、喫煙する人は、研磨剤入りの歯磨き粉を使うと効果を感じられることがあります。

歯科医院で売っている歯磨き粉は、低研磨や研磨剤無添加のものが主流になっています。逆に、市販の歯磨き粉には、研磨剤が含まれることが多いです。そのため、研磨剤の効果を得たい場合は、市販のものを使うことになります。

10円硬貨の文字が削れてしまう!怖い研磨剤の効果

しかし、研磨剤入りの歯磨き粉は、ものによっては、砂でセメントやコンクリートを磨くように、歯の表面が削れてしまうものもあります。
例えば、10円硬貨に歯磨き粉を付けた歯ブラシで磨くとキレイになりますが、これを長く続けていると、表面の文字がすり減って消えてしまいます。

研磨剤の効果がどれほどのものかということが分かります。研磨剤入りの歯磨き粉を使用し続けていると、歯の着色汚れは確かに取れることがありますが、それ以上に歯の健康を損ねてしまうことがあるので要注意です。

研磨剤にはどんな種類があるの?

歯磨き粉に含まれている研磨成分には、どのようなものがあるのでしょうか?一般にはパッと見て分からないことが多いです。
主に、パッケージの成分表には「炭酸ナトリウム」「ケイ素」等の表記がされています。そのほか、次のようなものも研磨成分となります。

・「リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)」…エナメル質が傷つき、根面がすり減ります。
・「粒状炭酸カルシウム」…歯の表面を削ります。
・「塩」…歯の表面を溶かす研磨作用があります。
・「顆粒」…顆粒成分が入っていると、歯をすり減らしていきます。
・ほかには「水酸化アルミニウム」「ケイ酸類(シリカ)」「重質炭酸カルシウム」「清掃剤」「ピロリン酸ナトリウム」「高掃除シリカ(ビーズ)」…これらも研磨作用がある成分です。使用する際は十分に気を付けましょう。

年2回、プロのクリーニングを受けましょう

「本当なのかな?」と気になる人は、自分が使っている歯磨き粉で10円硬貨を磨いてみるといいでしょう。
金属酸化膜が剥がれて、キレイに輝きはじめます。「キレイになるからいいじゃない?」と思うかもしれません。

確かに、今すぐは問題なくても、これを10年続ければどういうことになるか、考えてみるだけでも恐ろしいですね。歯の表面がすり減り、歯茎が長くなり根が露出しはじめたり、知覚過敏がはじまって沁みたりするようになります。

着色汚れは、歯科医院でクリーニングしてもらえます。毎日のホームケアで同じところを研磨剤で磨いて歯を痛めつけるのはやめて、年に2回程度、プロに口腔内のクリーニングをお任せするほうが賢い方法と言えるでしょう。

まとめ

研磨剤には、着色汚れを落とすという効果はありますが、歯の大事な部分を削ってしまう恐れも…。
生涯にわたり長く健康な歯を保つためには、歯科医院でプロによるケアを受けることがオススメです。