インプラントの寿命はどのくらい?長持ちさせるために知っておきたいポイント

武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。

「インプラントはどのくらいもちますか?」
「高い治療だから、できるだけ長く使いたいんです。」

診療室で患者さんからよく受ける質問です。せっかく治療を受けるのであれば、できるだけ長く使いたいと思うのは当たり前ですよね。

結論からいうと、インプラントには「〇年」とはっきり決まった寿命があるわけではありません。治療後のケアや生活習慣によって、経過は大きく変わってきます。

この記事では、インプラントの寿命に関する研究データとともに、日々の診療で感じる「長く使えている人の特徴」についてもお話しします。

インプラントの寿命はどのくらい?

インプラントの寿命について調べた研究はいくつもあります。そのなかでもよく引用される報告では、10年以上の生存率は90%以上とされています。

インプラントの模型

ここでいう「生存率」とは、インプラントが口の中に残っている割合を示す指標です。必ずしも完璧な状態を意味するわけではないのですが、多くのインプラントが長期間機能していることがわかります。

ただ、この数字だけで「10年もてば十分」と考えるのは少し早いかもしれません。実際の臨床では、10年、15年と問題なく使えているケースもめずらしくないからです。

一方で、トラブルが起こる場合もあります。インプラントは人工物ですが、周囲の骨や歯ぐきは体の組織です。そのため、ケアの状態や生活習慣によって結果が変わることがあります。

インプラントの寿命に関係する主な要因 

インプラントの経過にはいくつかの要因が関係すると言われています。

代表的なものをいくつか紹介します。

①メンテナンスの有無

もっとも大きく影響するのが、定期的なメンテナンスです。

インプラントはむし歯にはならないものの、周囲の歯ぐきは炎症を起こすことがあります。これを「インプラント周囲炎」と呼びます。

歯周病と似たような病気で、進行すると骨が吸収してしまうこともあります。そのため、治療後も歯科医院でのチェックやクリーニングがとても重要になります。

診療室でも「特に痛みがないから大丈夫だと思っていた」という患者さんが、久しぶりの来院で炎症が見つかることがあります。自覚症状が少ないことも多いので、定期的な確認が大切です。

定期検診で歯の状態を確認する様子

②セルフケアの状態 

毎日の歯磨きも、インプラントの寿命に大きく関わります。

歯ブラシだけでは届きにくい部分もあるため、歯間ブラシやタフトブラシなどの補助清掃用具を使うことが勧められています。

患者さんから「毎日磨いているつもりなんですが…」と言われることも多いのですが、実際に磨き残しが見つかることもあります。少しの違いでも、長い年月の中では大きな差になってしまうのです。

③喫煙習慣

喫煙も、インプラントの経過に影響する要因としてよく知られています。

タバコは血流を悪くするため、歯ぐきや骨の回復に影響すると言われています。そのため、インプラント治療では禁煙を勧められることも少なくありません。インプラントのためにも、からだのためにも、喫煙はやめたほうがいいということですね。

インプラントをした患者さんの2つのケース

症例:メンテナンスを続けて長く使えているケース

実際の診療でも、長期間安定しているインプラントを見ることがあります。

奥歯を指さす女性

ある患者さんは奥歯にインプラントを入れてから10年以上経過していますが、現在も問題なく使用されています。この方は3~4か月ごとのメンテナンスを欠かさず受診されており、セルフケアもとても丁寧です。

歯間ブラシやタフトブラシも習慣的に使われていて、インプラント周囲のプラークコントロールも良好でした。

レントゲンでも骨の状態は安定しており、歯ぐきの炎症もほとんど見られません。このようなケースを見ると、日々のケアがやはり大切だと感じます。

症例:インプラント周囲炎が見つかったケース

一方で、メンテナンスの間隔が空いてしまった患者さんでトラブルが見つかることもあります。

インプラント周囲炎になった男性

以前、インプラント治療後しばらく歯科医院に通えていなかった患者さんが来院されたことがありました。自覚症状はほとんどなかったそうですが、診査をするとインプラント周囲の歯ぐきに炎症が見られました。

レントゲンでは、インプラント周囲の骨が少し吸収している部分も確認されました。インプラント周囲炎が疑われる状態です。

その後、クリーニングや清掃指導を行いながら経過を見ていくことになりました。

患者さんも「もっと早く来ればよかったですね」とおっしゃっていました。

症状がなくても、定期的なチェックはやはり大切だと感じる場面でした。

この症例を通して感じること

メンテナンスを担当していると、インプラントが長く安定している患者さんにはいくつか共通点があるように感じます。

それは特別なことではありません。定期的に通院し、日々のセルフケアを丁寧に続けていることです。

一方で、「忙しくて少し間隔が空いてしまった」という患者さんで炎症が見つかることもあります。

そのたびに、やはり日々のケアと定期的なチェックの大切さを実感します。

よくある質問:インプラントは一生もちますか?

診療室でも「インプラントは一生もちますか?」と聞かれることがあります。

壊れたインプラント

残念ながら、絶対に一生もつと断言できる治療はありません。天然の歯でも、歯周病や虫歯で失われてしまうことがあります。インプラントも同じで、周囲の歯ぐきや骨の状態によって経過は変わります。

ただ、適切なケアとメンテナンスを続けていれば、10年以上安定して使用できているケースは多く報告されています。

実際に診療室でも、長期間問題なく使えている患者さんを見ることがあります。そのような方に共通しているのは、定期的なメンテナンスを続けていることです。

インプラントを長持ちさせるために大切なこと

インプラントを長く使うためには、特別なことが必要なわけではありません。大切なのは、次のような基本的なことを続けることです。 

デンタルケア

  • 定期的に歯科医院でメンテナンスを受ける
  • 毎日のセルフケアを丁寧に行う
  • 歯間ブラシなど補助清掃用具を使う
  • 喫煙習慣がある場合はできるだけ控える…など

簡単なことのようで、それを続けるのが一番むずかしいのかもしれませんね。習慣化してしまえばラクなので、それまでのしんぼうです。メンテナンスで一緒にがんばっていきましょう。

インプラントは治療が終わったら終わりではありません。むしろ、その後のケアがとても大切です。日々の診療でも、長く安定しているケースを見ると「やはり日常のケアの積み重ねが大きい」と感じます。

インプラントを長く快適に使うためにも、治療後のメンテナンスをぜひ大切にしていただければと思います。

参考文献

  • Jung RE, et al. Survival and success of implants in partially edentulous patients: a systematic review. Clin Oral Implants Res. 2012.
  • Pjetursson BE, et al. A systematic review of the survival and complication rates of implant-supported prostheses. Clin Oral Implants Res. 2012.