
武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。
「インプラントをしたいけれど、骨が足りないと言われた。」
このように言われてしまうケースがあります。
インプラント治療では、顎の骨に直接人工歯根を埋め込むため、必要十分な骨の量と厚みが必要になります。
しかし、骨が少ないからといって、すぐに「インプラントができない」と決まるわけではありません。骨を増やす「骨造成」という手術を行うことで、多くのケースでインプラント治療が可能になります。
今回は、インプラント治療に骨が必要な理由、そして骨が不足する理由とともに、骨造成という治療法について解説していきます。
目次
インプラント治療の仕組みと骨の重要性

インプラント治療では、顎の骨がとても重要になります。
インプラント治療について確認していきましょう。
インプラントは骨と結合して支える治療
インプラントは、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
最大の特徴は、人工歯根が骨としっかり結合することによって、強固に固定され、自分の歯のように使うことができます。
インプラントは骨に支えられている治療なので、土台となる骨の質や量がとても重要になります。
骨の不足パターンについて
骨の不足には主に2つのパターンがあります。横幅が足りない骨が薄いパターンと、高さが足りないパターンです。
特に上顎の奥歯部分の上部には、上顎洞という空洞があるため、骨の高さが不足しやすい傾向にあります。上顎洞との間に厚みがないと、インプラントをしっかり支えることができません。
また、上顎・下顎、いずれでであっても、長期間にわたって歯を失ったままにしていると、骨は徐々に吸収されていきます。
なぜ骨が不足してしまうのか?

骨の不足は、もともとの骨の形態だけでなく、後天的な要因があります。
いくつかのパターンについて解説していきます。
歯を失ったまま放置した場合
歯を失ったまま放置すると、その部分の骨は刺激を失い、時間の経過とともに自然に吸収されていきます。歯は噛む力を骨に伝える役割を担っていますが、その刺激がなくなると徐々に吸収されてしまうのです。
歯周病による骨吸収
歯周病になると、歯を支える骨が破壊されて溶けてしまいます。
重度の歯周病になっていると、歯を抜いた時点で、骨が大きく失われているケースも多いです。
入れ歯の長期使用
歯を失った後、入れ歯を入れていても、入れ歯では噛む力が直接骨に伝わりにくいため、長期的には骨吸収を進行させることがあります。
特に総入れ歯を長期間使用している場合、顎の骨が大きく痩せることもあります。
骨が足りない場合に行う骨造成とは
骨が不足している場合でも、骨を増やす治療「骨造成(こつぞうせい)」を行うことで、インプラントが可能になるケースがあります。
インプラントを安全に埋入するためには、一般的に厚みが6〜7mm以上、高さが10mm前後あることが目安になっています。
骨の量がそれ以下の場合は、骨造成が有効な方法です。
骨造成には、いくつかの種類がありますので、順番に紹介していきます。
GBR(骨誘導再生法)
GBR(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生法)は、骨の「幅」が不足している場合によく行われる治療法です。
GBRでは、足りない部分に人工骨や自家骨(ご自身の骨)を補填し、その上を特殊な膜(メンブレン)で覆い、骨造成を行います。
軽度〜中等度の骨不足に適応されることが多く、インプラント埋入と同時に行える場合もあります。骨の再生を待ってからインプラント手術を行う場合には、骨造成手術後、約4〜6ヶ月ほどの治癒期間が必要になります。
サイナスリフト
サイナスリフトは、上顎の奥歯部分の骨の高さが大きく不足している場合に行われる治療です。上顎の奥歯の上には「上顎洞」という空洞があるため、骨の高さが不足するケースが多いです。
サイナスリフトでは、上顎洞の底部の粘膜を慎重に持ち上げ、その下に骨補填材を入れて骨の高さを確保します。骨の高さが、3〜5mm程度しかないケースでも適応可能です。
外科的処置の範囲は広くなりますが、長年行われてきた実績のある方法で、治癒期間はおおよそ6ヶ月前後となります。
ソケットリフト
ソケットリフトは、サイナスリフトと同様に上顎の奥歯部分の骨の高さが不足している場合に用いられる方法です。
サイナスリフトよりもやや小規模な処置で、比較的軽度な骨不足に適応されます。
骨の高さが6〜8mm程度残っている場合などに用いられます。インプラントを埋入する穴から上顎洞底を少しだけ押し上げ、同時に骨補填材を入れていきます。
インプラント埋入と同時に行えることが多く、身体的負担も比較的少ないのが特徴です。
自家骨移植
より大きな骨欠損がある場合には、自家骨移植という方法が選択されることがあります。
これは、患者さんご自身の顎の一部や下顎の奥、場合によっては口腔外の骨を少量採取し、不足している部分に移植する方法です。
骨の幅が大きく足りない重度の症例や、大きく凹んでいるケースでは、単純なGBRでは安定が難しい場合がありますが、自家骨移植では、ブロック状の骨を固定して厚みを確保することができます。
難易度は高くなりますが、骨が大きく足りない症例でもインプラント治療の可能性を広げることができる治療法です。治癒期間は、6ヶ月前後が一般的です。
骨造成のリスクと注意点
骨を増やすと聞くと、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実績の多い比較的メジャーな治療法です。
もちろん外科処置である以上、リスクがゼロというわけではありません。
あらかじめリスクや注意点を知っておくことが大切です。
腫れや痛みはどのくらい?
骨造成は、外科手術の一つなので、術後に痛みや腫れが出ることがあります。
多くの場合は、処方されるお薬でコントロールできる程度で、日常生活に大きな支障が出るケースは比較的少ないと言われています。
腫れや痛みのピークは、術後2〜3日で、1週間程度で落ち着いてきます。
術後はアクティブな予定などはいれずに、安静して過ごすことが大切です。
治療期間は長くなる?
骨造成を行う場合、通常のインプラント治療よりも治療期間は延びる傾向があります。骨造成で骨が作られるのを待ってからインプラント治療を行う場合には、その間4ヶ月〜6ヶ月程度の治癒期間が必要です。
できるだけ早く治療を終えたい方にとっては、負担に感じるかもしれませんが、インプラントの安定性に関わる重要な期間になります。
治療期間には、骨の量によって個人差があるので、術前にしっかりと説明を聞いておくようにしましょう。
術後の感染や骨ができないリスク
まれではありますが、感染が起こると骨がうまく再生しないことがあります。
また、体質や生活習慣によっては、骨の再生が十分に進まないケースもあります。
特に影響が大きいのが「喫煙」です。喫煙は血流を悪化させ、骨の治癒能力を低下させます。歯科医院によっては、喫煙者は治療が行えないこともあります。
骨造成やインプラント治療を成功させるには、禁煙が望ましいです。
全身状態との関係
全身疾患も、骨の治癒に影響を与える要因のひとつです。
例えば、血糖値のコントロールが不十分な場合、感染リスクや治癒遅延の可能性が高くなります。治療の前には、持病の有無や服用中の薬の確認などが行われますので、正しく伝えるようにしましょう。
まとめ
骨が少ないと言われても、すぐにインプラントを諦める必要はありません。
骨造成を行えば、インプラントが可能になるケースも多いです。
まずはCT検査などで現在の骨の状態を正確に把握し、十分な説明を受けたうえで治療を検討することが大切です。
以前、「インプラントを断られた」という方も、骨造成技術の進歩により、インプラントが可能になっていることもあります。ぜひ一度、相談をしてみてください。
