武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。
「インプラントって怖いイメージがある」
「入れたのに、なんだか調子が悪い?」
インプラント治療は、今ではかなり一般的になりました。「もう一度しっかり噛めるようになりたい」「見た目を自然に戻したい」という理由で選ばれる方も多いですし、実際に満足されている方もたくさんいます。

ただ、歯科医院で働いていると、どうしても“うまくいっていないケース”にも出会います。治療そのものが失敗というわけではなくても、「思っていたのと違う」「何となく違和感が続く」といった相談は、決してめずらしくありません。
インプラントは、とても優れた治療法ではありますが、天然歯とは異なります。その違いを知らないまま使い続けてしまうと、思わぬトラブルにつながることもあります。
ここでは、歯科衛生士として日々患者さんのケアに関わっている立場から、インプラントで比較的よく見かけるトラブルと、その対策についてお話しします。
目次
インプラント治療ってなに?
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工の歯根を埋め込み、その上に被せ物を装着して噛めるようにする治療法です。入れ歯やブリッジと違い、周りの歯に負担をかけずに噛めるのが大きな特徴です。

ただ、ここで誤解されやすいのが、「人工の歯だからトラブルが少ない」「入れたらもう通わなくていい」というイメージです。実際には、インプラントはとても精密な治療で、天然歯以上に管理が必要な人工臓器のような存在とも言えます。
インプラント治療とは、入れて終わりの治療ではない
インプラント治療とは、入れて終わりの治療ではありません。むしろ「入れてからが本番」と言ってもいい治療です。
歯を失った部分に人工の歯根を入れて噛めるようにする、という意味ではとても画期的な治療ですが、実際に長く患者さんを見ていると、入れたあとにどれだけ丁寧に管理できるかで、そのインプラントの寿命が大きく変わっていると感じます。
インプラントはむし歯にはならないので安心感があります。ただし、その周りの歯ぐきや骨は、私たちの体の一部です。歯周病と同じように、細菌が増えれば炎症が起き、進行すると骨が下がってしまいます。
「人工の歯だから大丈夫」
「もう悪くならないと思っていた」
こうした言葉を、トラブルが起きたあとに患者さんから聞くことも少なくないです。歯科衛生士の立場から見ると、インプラントで問題が起きるケースの多くは、治療そのものよりも、その後のケアや通院がうまくいかなかったことが重なっているように感じます。
だからこそ、インプラント治療を考えるときには、「どうやって入れるか」だけでなく、「どうやって守っていくか」まで含めて理解しておくことがとても大切になります。
インプラント治療で起こりがちなトラブル5つ
そこで今回は、インプラント治療に不安を感じている方のために「インプラント治療で起こりがちな5つのトラブル」についてご紹介します。

①インプラント周囲炎は、気づかないうちに進むことが多い
インプラントのトラブルの中で、一番注意してほしいのが「インプラント周囲炎」です。天然歯でいう歯周病のようなもので、インプラントの周りの歯肉や骨に炎症が起こる状態です。
厄介なのは、初期にはあまり症状が出ないことです。少し出血していても、痛みがないと「まあ大丈夫かな」とそのままにしてしまう方もいます。でも、気づかないうちに炎症が進み、骨が少しずつ減っていくこともあります。
喫煙している方や、糖尿病などの持病がある方は、どうしてもリスクが高くなりがちです。もちろん、それだけが原因ではなく、日々の磨き残しが影響していることがほとんど。
対策として一番大切なのは、やはり日常のケアと定期的なチェックです。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやタフトブラシなどをどう使うかで、状態がかなり変わる方もいます。歯科医院でのメインテナンスで歯肉の状態を見ながら、早めに手を打つことが重要です。
②「ちょっと動く気がする」は要注意

インプラントは、骨の中に埋まっている部分と、その上にのっている被せ物でできています。そのつなぎ目にはスクリューが使われていて、長く使っていると、少しずつ緩んでくることがあります。
患者さんからは、「噛むとカクっとする感じがする」とか、「何となく違和感がある」と言われることが多いです。見た目では分かりにくいので、そのまま我慢してしまう方もいますが、これはあまりおすすめできません。
そのまま使い続けると、被せ物が欠けたり、インプラント本体に余計な力がかかったりすることがあります。少しでもおかしいなと思ったら、早めにチェックしてもらうほうが安心です。
③噛み合わせのズレが負担になることもある
インプラントには、天然歯のようなクッション(歯根膜)がありません。そのため、噛む力がダイレクトに骨へ伝わります。噛み合わせがほんの少しズレているだけでも、特定のインプラントに力が集中してしまうことがあります。
特に、歯ぎしりや食いしばりのクセがある方は、知らないうちに大きな力をかけていることもあります。見た目では問題がなくても、内部では負担がかかっていることがあるので注意が必要です。
必要に応じて噛み合わせの調整をしたり、ナイトガードを使ったりすることで、トラブルを防げる場合もあります。
④骨の状態はずっと同じではない
インプラントは骨に支えられているので、その骨の状態が変わると影響を受けます。治療直後は問題がなくても、年齢や生活習慣の影響で、少しずつ骨が変化していくこともあります。
レントゲンなどで定期的に確認することで、「今はどういう状態か」を把握できるので、やはり通院を続けることが大切です。
⑤インプラントは磨き残しやすい

インプラントは形が複雑なことが多く、天然歯と同じ感覚で磨いていると、どうしても汚れが残りやすい場所があります。特に、歯肉との境目や被せ物の下は、プラークがたまりやすいポイントです。
歯科衛生士として患者さんたちとお話ししていると、ケアの方法を少し変えただけで、歯肉の状態がかなり良くなる方もいます。「自分の磨き方が合っているか」を一度確認してもらうのも大事なことだと思います。
インプラントと長くつき合うために

インプラント治療は、終わった瞬間がゴールではありません。そこからどう管理していくかで、数年後、十数年後の状態が変わってきます。
出血や腫れ、違和感など、ちょっとした変化に気づいたときに早めに相談することが、結果的にインプラントを長持ちさせる一番の近道になります。「何かあったらすぐ診てもらう」、それだけでもリスクはかなり下げられます。
インプラントを安心して使い続けるためには、患者さんと歯科医院が一緒に状態を見ていくことが大切でしょう。うまく付き合っていければ、インプラントはとても心強い治療のひとつになってくれるはずです。
