口の乾き、放っておくと危険!?その原因と今日からできる唾液対策 (1)

武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。

「最近、夜寝ているときに口が乾いて目が覚める」
「朝起きると口の中がネバネバする」
「食べ物がうまく飲み込みにくい」

こんな経験はありませんか?

これらは、ただの年齢のせいではなく、唾液(だえき)の分泌量が減っているサインかもしれません。唾液は私たちのお口の健康だけでなく、全身の健康にも関わる大切な存在です。

唾液が少なくなると、むし歯や歯周病になりやすくなったり、口臭が気になったり、食事や会話の楽しさまで損なわれることがあります。でも、日常生活のちょっとした工夫で唾液の力を取り戻すことができるんです。

この記事では、唾液の大切なはたらき、減ってしまう原因、そして今日からできる簡単なケア方法まで、歯科専門家の目線でわかりやすくご紹介します。

唾液はお口の守り神!知られざる5つの役割

口の乾きが気になる女性

私たちは普段、唾液の存在をあまり意識していませんが、実はとてもたくさんの役割を果たしています。

まず、唾液はお口の中を清潔に保つ働きがあります。
食事のあとに残った食べかすや細菌などを洗い流してくれるため、むし歯や歯周病を防ぐ効果があります。

また、唾液には酸を中和する力もあり、食後に酸性に傾いたお口の中を中性に戻してくれます。これも、むし歯を防ぐ大事な働きです。

さらに、唾液は食べ物をしっとりとまとめ、飲み込みやすくする役割を持っています。
唾液中の酵素「アミラーゼ」は、でんぷんを分解して消化を助けるため、消化器官にとっても重要です。

ほかにも、味を感じやすくする、粘膜を保護する、口臭を防ぐなど、唾液の働きはまさに「天然の万能薬」と言っても過言ではありません。

唾液が減るのはなぜ?原因を知れば対策できる

唾液の分泌が減る原因は、一つではありません。
いくつかの要因が重なって起こることが多いです。

1. 加齢による変化

年齢を重ねると、唾液腺の働きが少しずつ低下し、分泌量が減っていきます。
「年のせいだから仕方ない」と思われがちですが、工夫次第で改善できることもあります。

2. お薬の副作用

薬

高血圧、糖尿病、アレルギー、うつ病などで服用する薬には、「口の乾き」を副作用とするものが多くあります。
お薬の影響かもしれないと感じたら、決して自己判断で中止せず、かかりつけ医や歯科医院に相談してください。

3. ストレスや緊張

人はリラックスしているときには唾液がよく出ますが、緊張したりストレスを感じたりすると、唾液の分泌を促す「副交感神経」が働きにくくなり、口が乾きやすくなります。

4. 口呼吸

鼻づまりやいびき、睡眠中の口開けなどで口呼吸が続くと、お口の中が乾燥しやすくなります。
マスク生活で口呼吸のクセがついている方も少なくありません。

5. 水分不足

体の水分が足りていないと、当然ながら唾液も減ります。特に高齢者は喉の渇きを感じにくいため、知らないうちに脱水気味になっていることも。

6. 全身の病気

糖尿病やシェーグレン症候群など、全身の病気が原因で唾液が減ることもあります。
「乾きが強くなってきた」「粘つきが続く」と感じたら、一度医療機関に相談を。

唾液不足でこんなトラブルが!むし歯・口臭・味覚低下

お口のトラブルを感じる男性たち

唾液が少なくなると、次のようなトラブルが起こりやすくなります。

  • むし歯や歯周病が進行しやすくなる
  • 口臭が強くなる
  • 舌や粘膜がヒリヒリする(舌痛症)
  • 味が感じにくくなる
  • 入れ歯が安定しにくくなる
  • 飲み込みづらくなり、誤嚥(ごえん)や肺炎のリスクが上がる

特に高齢の方では、「口の乾き」が原因で食事量が減ったり、感染症が起きたりと、全身の健康にも影響を与えることがあります。だからこそ、早めのケアがとても大切です。

自分でできる!唾液アップの習慣

「唾液が減った」と感じたとき、すぐにできる工夫を紹介します。

①よく噛んで食べる

噛み応えのあるレンコン

柔らかいものばかり食べていると、唾液腺が刺激されず分泌が減ります。

ガムを噛んだり、繊維質の多い野菜(ごぼう、れんこんなど)を取り入れたりすると、自然と唾液が出やすくなります。

② 水分をこまめにとる

一度にたくさん飲むより、「少しずつ、回数を多く」がおすすめ。

カフェインの多い飲み物は利尿作用があるため、水や麦茶を中心に摂りましょう。

③ 唾液腺マッサージ

耳の下(耳下腺)、あごの下(顎下腺)、舌の下(舌下腺)をやさしく指でくるくるマッサージすると、唾液の分泌が促されます。1日数回、リラックスタイムに取り入れてみてください。

④ 深呼吸・リラックスを意識

トレスや緊張で交感神経が優位になると、唾液が減ります。

意識的に深呼吸をしたり、温かいお風呂にゆっくり入ったりするなど、心を落ち着かせる時間を大切にしましょう。

⑤ 保湿ジェルやマウススプレーの活用

口腔ケアのイメージ

乾燥が強い場合は、市販の保湿ジェルやスプレーで口の中をうるおすのも効果的です。

歯科医院では、ドライマウス専用のケア用品を紹介してもらえることもあります。

困ったときは歯科医院へ!専門家が教えるドライマウス対策

ご自宅でのケアに加えて、歯科医院ではさらに専門的なサポートを受けることができます。
「乾くのは仕方ない」と我慢せず、気軽に相談することが、症状改善への第一歩です。

具体的には、次のようなケアやサポートがあります。

1. 唾液量の検査や口腔乾燥のチェック

専用の器具や検査方法で、どのくらい唾液が出ているかを測定できます。

自分ではわかりにくい分泌量も数値で確認できるため、改善の目安になります。

2. 原因となるお薬の確認と医科との連携

高血圧やアレルギー、うつ病などで服用しているお薬の中には、口の乾きを引き起こすものがあります。

歯科医師が必要に応じて処方医と連携し、影響を最小限にする方法を相談できます。

3. 保湿剤や洗口液の提案

乾燥が強い場合は、唾液の代わりになる保湿ジェルやスプレー、洗口液を使うことも可能です。

症状やライフスタイルに合わせた製品を提案してもらえるので、安心して使用できます。

4. 入れ歯や詰め物の調整

入れ歯や詰め物が合っていないと、口の乾きが強く感じられることもあります。

歯科医院では、違和感のない快適な状態に調整してもらえます。

5. 口腔機能トレーニングの指導

唾液腺を刺激する簡単なマッサージや、舌や唇の筋肉を鍛えるトレーニングも教えてもらえます。

続けることで唾液分泌を促し、飲み込みやすさや会話のしやすさも改善されます。

歯科医院では、単に「乾く症状を抑えるだけ」でなく、原因を探り、生活習慣や口腔環境を整える総合的なサポートを受けることができます。

「唾液が減ってきたかも」と感じたら、早めに相談することで、むし歯や口臭、口の痛みなどのトラブルを未然に防ぐことができます。

あなたのお口の健康を守るために、ぜひ歯科医院を頼ってみてください。

唾液を味方に!毎日できるお口の健康習慣

口の乾きを気にする高齢女性

唾液は、私たちのお口と体の健康を守るための大切な味方です。
「最近、乾くな…」と感じたら、それはお口からのサイン。
日々の生活を少し見直すことで、唾液の力を取り戻すことができます。

お口がうるおうと、食事も会話もぐんと楽しくなります。
ぜひ今日から、できることから始めてみてくださいね。

もし気になる症状が続く場合は、早めに歯科医院でご相談ください。
あなたのお口の健康を、一緒に守っていきましょう。