歯医者で行う歯ぐきの健康チェック〜歯周基本検査の流れとポイント〜

武蔵小山駅から徒歩2分の歯医者「東海林歯科医院」の東海林です。 歯医者さんで「歯ぐきをチクチク」された経験、ありませんか?

これは「歯周基本検査」といって、歯ぐきの健康状態を調べる大切なチェックです。でも、「何をされているのかわからない」「痛そうで怖い」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、そんな不安を少しでもやわらげられるように、歯周基本検査の流れやポイントをやさしく解説していきます。

歯ぐきのチェックのイメージ

歯ぐきのチェックって、何のためにするの?

歯ぐきの検査は「ただ歯周病かどうかを調べる」ためだけではありません。実は、お口全体の健康状態を総合的に判断するための“バロメーター”ともいえる大切な情報源なのです。

たとえば歯周ポケットの深さを調べることで、歯ぐきの炎症の有無だけでなく、歯を支える骨の状態や、プラーク(歯垢)が残りやすい場所までわかります。また、検査の結果は「これから先どんなケアが必要か」「どれくらいの頻度で通院すればいいか」を決める基準にもなります。

同じ歯周病でも、進行のスピードやかかりやすさは人それぞれ。だからこそ、最初に正確な状態を把握することがとても大切なのです。

グラつく歯茎

歯周病とは

歯周病とは、歯のまわりの組織が細菌によって炎症を起こし、やがて歯を支える骨までもが溶けてしまう病気です。

はじめは歯ぐきに炎症が起こる「歯肉炎」から始まり、進行すると「歯周炎」となって骨にまで影響が及びます。最終的には、歯を支える骨が失われ、歯がぐらついたり、抜け落ちてしまったりすることもあります。

そのため、歯周病を早期に発見し、進行を防ぐためには、定期的な検査がとても大切です。

歯周病ってなにで診断する?

歯周病には、いくつかのセルフチェックのサインがあります。

  • 歯ぐきが赤く腫れている
  • 口臭が気になる
  • 歯ぐきが下がってきた気がする
  • 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
  • 歯が浮いたような感覚がある
  • 歯がぐらつく
  • 歯ぐきから膿が出る…など

このような症状がある場合、歯周病が進行している可能性があります。できるだけ早めに歯科医院で診てもらいましょう。

歯科医院では、歯ぐきの状態を確認する「歯周基本検査」やレントゲン、お口の写真撮影などを通して、歯周病の進行度合いを詳しく調べていきます。

歯のトラブルを感じる男性

歯ぐきの健康チェックとは?〜歯周基本検査の流れとポイント〜

歯周病の診断で最も基本的で重要なのが「歯周基本検査」です。なかでも中心となるのが「歯周ポケット検査」で、これは歯と歯ぐきの間にある溝(=歯周ポケット)の深さを専用の器具で測るものです。

健康な歯ぐきでは、この溝は1〜3mm程度ですが、4mm以上になると歯周病の疑いがあります。深くなればなるほど、歯ぐきの奥にまで炎症が進んでいる可能性があります。

ここからは、歯周基本検査の主な流れとそれぞれのポイントを紹介していきま。

① 医療面接(問診)

まずは問診からスタートします。

歯周病は生活習慣病のひとつでもあり、食生活、喫煙、ストレス、肥満、糖尿病などの全身疾患と深く関係しています。ご家族に歯周病の方がいれば、遺伝的な影響も考慮されます。

また、服薬しているお薬によっても歯ぐきの状態や唾液量が変化することがあるため、最近変更があった場合は必ず伝えてください。

② パノラマレントゲン撮影

上下のあご全体を撮影するレントゲンで、骨の状態、歯の根の長さや形、治療済みの歯、親知らずの位置などを確認します。

顎関節や噛み合わせの力の影響なども把握できます。

③ デンタルレントゲン撮影

1〜数本の歯を詳細に写すレントゲンです。パノラマよりも細かく、むし歯、歯石、詰め物や被せ物の状態、歯根の形、骨の吸収具合などがわかります。

④ コーンビームCT(必要に応じて)

三次元的にお口の中を確認できるため、骨の欠損や根尖病変(根の先の病気)など、より詳細な診断に役立ちます。必要に応じてパノラマ・デンタルと組み合わせて撮影します。

⑤ 口腔内写真の撮影

口腔内写真は、ただ写真を撮るだけではありません。
写真を通して、歯ぐきの色・腫れ具合・出血の有無、さらにはブラッシングの磨き残しまで、さまざまな情報を把握することができます。

特に治療の前後で比較すると、「どれだけ改善したか」が一目でわかるため、モチベーションの維持にもつながります。

また、患者さんが普段あまり見ることのない「自分の口の中」を視覚的に確認することができるため、「なぜ治療が必要なのか」を納得しやすくなるというメリットもあります。

歯科検診を行う歯科医師

⑥ 歯周ポケット検査

プローブと呼ばれる細い器具で、歯と歯ぐきの間の溝の深さを測ります。溝が深いということは、細菌がその奥まで入り込み、炎症が進んでいる可能性があるということ。検査方法は1点法、4点法、6点法があり、詳細な治療計画を立てる場合は6点法が基本です。

加えて、以下の項目もチェックします。

  • 歯ぐきからの出血の有無
  • 歯の動揺度(ぐらつき)
  • 歯石やプラークの付着具合
  • 根分岐部病変の有無(奥歯の根の間に炎症があるか)
  • 不適合な修復物や詰め物の状態…など

○出血の有無

プローブで触れたときに出血がある場合、それは「炎症がある」サイン。ポケットが浅くても出血があれば、改善の余地ありです。

○動揺度

  • 0度:正常
  • 1度:1mm以内の揺れあり
  • 2度:1mm以上の揺れ
  • 3度:縦方向にも揺れ、かなり重度

○根分岐部病変とは?

奥歯でよく見られ、歯根が2本以上ある部位に炎症が及んでいる状態。臼歯などの歯根が分かれている部分にまで歯周病が進行すると、清掃が難しくなり、さらに状態が悪化しやすくなります。

これらの情報から、歯周病がどの程度進んでいるかを判断し、治療方針を決めていきます。

⑦ 唾液検査・細菌検査(必要に応じて)

唾液の量や性質を調べたり、歯周病の原因となる細菌の種類・量を調べたりすることで、歯周病のリスクや活動性をより正確に把握できます。

細菌検査では、特に歯周病の原因菌(P.g.菌、T.f.菌、T.d.菌などのレッドコンプレックス)の有無や量と質を確認し、リスクの高い方にはより積極的な治療・予防計画が立てられます。

これらの検査は、患者さんの状態に応じて必要に応じて実施されるもので、オーダーメイドの治療のための判断材料になります。

歯ブラシとコップ

おわりに

歯ぐきの検査と聞くと、「痛そう」「こわい」と感じるかもしれませんが、実際には数分で終わるものがほとんどです。

そして、歯周病は初期には自覚症状がほとんどないため、このような基本検査による早期発見がとても大切です。一見地味に思える歯ぐきのチェックも、歯を守るための第一歩。

歯周病は、状態に合わせて対処すればコントロールできる病気です。大切なのは、「自分の状態を知ること」、そして「適切なケアを継続すること」です。検査結果をしっかり理解し、必要に応じたケアを一緒に進めていきましょう。

気になる症状がある方はもちろん、症状がなくても定期的なチェックをおすすめします。何かお困りのことがあれば、当院までお気軽にご連絡ください。